◆プレミア的な、あまりにプレミア的な◆

 荷物の軽さと集金額のギャップに戸惑ったのか、どことなく気遣うような、なんとなく
捧げ持つよな、そんな仕草の宅配さん。「さして重さは無かったぞ。一体グラムいくらの
肉なのだ」と、立ち去る背中が訝(いぶか)しげです。でも彼は立派な二個の玉葱も
オマケとしてその荷に梱包されている事を知る由もないのです。

 切り分けられた一人前をお仲間六人で召し上がる。当店ならでは、お勧めのプレミア
的注文法です。なにせチャンプ、年に数頭の逸品です。例え一切れといえども味わい
征服した歓びが一気に場を盛り上げます。これが特選コースのプレミアを単品メニュー
に加えた理由なのです。後は無冠が故に値もそこそこの西国屈指の銘柄牛がドンと控
えているのです。

   奥のテーブルの九名様もプレミアロース。
「九等分・・・、プレミア的な、あまりにプレミア的な」
一切れたりともそつなど出せず、しかも厄介奇数の九。どう切り分けようかと眉間に
皺の真剣勝負。これがボタンの掛け違え。
 成り行き察したフロアーさんが「九人前のご注文です」と、正せども時遅し。
在庫が脳裏で舞ってます。
 やがて、威風堂々六つ切りの八人前に遅れてしばし、何処かあどけない九つ切りの
一人前が意を決し巣立つ鳥でもあるかの如く厨房を後にしたのでした。

 有機玉葱の送り主、律儀な神戸ビーフのお肉やさんが「前回のプレミア、お味は如何
でしたでしょうか?プロのご意見お聞かせ下さい」とメールで訊いてくるのです。
「全てをのっけからお客様にお味見して頂きました」とも答えにくいじゃありませんか。